FAQ集(TDA1541A搭載DAC)
FAQ集(TDA1541A搭載DAC)
TDA1541A搭載DACについて
Q. 推奨のCDトランスポートは、ありますか?
A. Phlips製CDM1ドライブメカを搭載したCDプレーヤーをデジタル同軸出力でお使いになることをお薦めいたします。具体的にはMarantz CD94、CD95を圧倒的にお薦めいたします。分解能、重厚感、音場展開の広さ等々素晴らしく、ノーマルCD専用トランスポートが現行品市場にほぼ不在の現状を補って余りあるクォリティーを備えています。現在も中古市場に豊富に出回っていて相場価格も8万円前後と手頃かと思います。一般には下記LHHシリーズのビットストリームDACの滑らか系の音に根強い人気があり、相対的にCD94/95の相場が低く抑えらているのは有難い現象です。トランスポートとしての実力はCD94/95の方が一枚上を行きます。上位にCD99という機種もありますがトランスポート部は共通なので価格に見合う導入効果は無いかと思います。
尚、現行のCDプレーヤーとの比較で唯一見劣りする部分としてはクロックが挙げられるかと思いますが、専用設計の低ジッタークロックモジュールを近日(2024年4月)発売予定です。
やや音が軽くなりますが、次点でCDM4系の金属シャーシを用いたドライブメカ(CDM3、CDM4/36pro等)を搭載したCDプレーヤーもトランスポートとして推奨に価する銘品です。具体的には、Philips LHH-300、LHH-500辺りが中古市場に豊富で価格的にも手頃かと思います。こちらにもLHH-600、700、800等々の上位機種が存在しますが、トランスポート部は共通なので価格に見合う導入効果は無いかと思います。
上記何れの機種も、ネットオークション等では、トレイ開閉が不能、開閉はするもののCDがマウントされず返される、等の症状のものがジャンク品として安価で取り引きされています。大方は内部のゴムベルトを交換すれば復旧します。レーザーピックアップ等の光学系&電気系よりも先にベルトが寿命を迎え[脚注1]、内部が比較的良好な状態で手放されるケースが多いためです。但し、他の内部損傷が隠れている場合もありますのでジャンク品なりのリスクは伴います。 例えば電源部の3端子レギュレーターや整流素子が焼損しているケースもありますので、電源が入らないものは避けた方が無難です。また、年式の割に背面のネジが真新しいものは、頻繁な筐体開閉の履歴がある個体かも知れません。前オーナーが一通りのメンテ或いは復旧作業を尽くした末に手放したケースが想定されますので、内部に重度の消耗やトラブルを抱えている可能性があります。
余談ながら、結局のところCDドライブも重量で効くようです。近年のスリム化された軽量級ドライブメカからは軽薄で窮屈な音が出て、CD登場から間もない頃の重量級ドライブメカからは重厚で広々とした音が出るから不思議です。
[脚注1]
消耗しているのは大抵の場合、CD固定機構を駆動するためのベルトです。上記の推奨機種では、CD中心部をCDM1のスピンドルとリング状磁石でサンドイッチして磁力固定します[脚注2]。リング状磁石は、ベルト駆動で昇降するアームに運ばれてCDの上に置かれるのですが、その後アームが逃げることにより周囲のメカとは完全に切り離されてCD上に鎮座し、スタビライザーとなります。CDMというとスイングアームメカばかりが注目されますが、この磁力固定機構もまた美しい再生音に大いに貢献していると思います。ところが、リング状磁石を運んで置いたり磁力に抗して引き剥がしたりする動作が負担となってベルトを消耗させる訳でして、ベルトの短寿命は高音質の代償と割り切る必要があります。適合するベルト(内径40mmで太さ2mmのもの1本か、太さ1.6mmのもの2本を2重掛け)は、通販等で容易に入手可能です。交換方法についてもネット検索で親切な解説記事がヒットするかと思いますので詳細は省略させて頂きますが、ご不明の場合には下記までお問い合わせください。
[脚注2]
CDM1を用いた機種でも、CDをバネで押さえつけて固定する方式のものは推奨いたしません。押さえ機構によるフリクションや機械的共振を背負いながらの回転となるためです。具体的には、Mrantz CD34、CD80、Philips CD104等がこれに該当いたします。
Q. DAC2からDAC22へアップグレード可能ですか?
A. アップグレード頂けません。アップグレードのベースとなる共通部分が殆どないためです。DAC22は、ケースの大きさも電源の仕様も他の弊社DAC製品とは大きく異なります。このため、他機種にDAC22の性能機能を組み込むことは、スペース的にも回路仕様的にも不可能です。他機種との唯一の共通性は、中核のDACチップが(グレードは異なりますが)同じTDA1541Aのファミリーであることですので、DAC22をDACチップ非搭載にてご購入頂き、お手元の機種からDACチップを移設頂くことは可能です。DACチップ非搭載仕様での本体価格や移設作業の料金等、詳細につきましては別途お問い合わせください。
Q. デジタル同軸ケーブルが無い場合には、高音質ラインケーブルで代用できますか?
A. いいえ、代用できません。対応する周波数帯が全く違うためです。
Q. デジタル同軸ケーブルの種類や銘柄によって音質が変化しますか?
A. はい、変化いたします。デジタル信号が忠実に伝送されなければ、その影響は、分解能の不足やデジタル臭い音の硬さとして再生音に現れます。そのため弊社DAC製品には、特に伝送特性の優れた標準ケーブルを同梱しております。
Q. 何故、電源ケーブルが同梱されていないのですか?
A. 電源ケーブルにつきましては、お客様が独自にご選定のケーブルが、ご愛用のシステムにて定番化している場合が殆どのため、弊舎では同梱しておりません。但し、ご注文時にご指定を頂ければ一般的な電源ケーブルを同梱することは可能ですので、お問合せください。
Q. このDACは、映像系メディア(DVD等)のデジタル音声信号にも対応していますか?
A. 弊舎DACは、対応フォーマットを16bit/44.1kHzに限定することで最良のD/A変換品質を得る仕様のため、 DVD等の映像系メディアからの標準デジタル出力である16bit/48kHzには標準では対応しておりません。但し、16bit/48kHz対応に変更することも可能ですので詳細についてはお問い合わせください。
尚、映像系機器で唯一の例外として、レーザーディスク(LD)専用プレーヤーのデジタル出力は16bit/44.1kHzであるため弊舎DACをそのまま接続可能です。(但し、DVD/LD両対応のプレーヤーは、デジタル出力が16bit/48kHzになっているようですのでご注意ください。)
DVDやBlu-rayの登場により映像媒体としては使命を終えたLDですが、ノーマルCD同等の音質で収録された数々の名演奏はCD化されていないものも多く、莫大な16bit/44.1kHz音源資産の重要な一部であり続けています。ネットオークション等では現在もアルバムが豊富に出回り、圧縮音源をオンライン購入するよりも遥かに割安にソフトを揃えることが出来ますので、新たに中古のLD専用プレーヤーを導入される価値も十分にある領域かと思います。もちろん、お手持ちのLD専用プレーヤーがありましたら弊舎DACを組み合わせることで貴重なLD音源の良さを再発見頂けることと思います。
Q. アナログ出力をバランス端子(XRL端子)に変更することは可能ですか?
A. 変更オプションとして対応させて頂きます。バランス出力への変換をトランスで行いますので、トランスの搭載方式により、
①小型のトランスを筐体に内蔵する方式(内蔵方式)
②中型のトランスを筐体天板上に積載する方式(ピギーバック方式)
の何れかの形となります。
①の内蔵方式は、後面パネルにスペースの余裕がないためアンバランス出力との併存は出来ません。使用するトランスは、変換機能優先となりますため、トランス付加による音質改善効果は小さなものに留まります。
②のピギーバック方式は、アンバランス出力との併存も可能です。通常の小~中信号用トランスであれば搭載できますので、トランス付加による音質改善効果も併せて期待できます。ヴィンテージ品を含めその時点での在庫から最良のトランスをお薦めさせて頂きます。また搭載トランスのご指定にも対応させて頂きます。
①、②共に価格についてはトランスの価格に依りますので、お問合せください。
尚、DAC本体への変更を伴わない方法として、 「③トランスを別筐体に納めケーブルで接続する方式」も併せてご検討ください。大型のトランスも採用可能となりますので、弊舎ライントランス製品をバランス出力に変更して(無料です)ご使用頂くのが最もお薦めの構成となります。
Q. デジタル入力をバランス端子(XRL端子)に変更可能ですか?
A. 変更オプションとして対応させて頂きます。併せて内部回路をAES規格での入力信号レベルに最適化いたします。尚、 DAC2等の後面パネルにスペースの余裕がない機種では、アンバランス出力との併存は出来ません。
Q. バランス入出力に変更した上で、同じDACチップを搭載するStuder/Revox、EMT等のCDプレーヤーに繋いだ場合にも音質改善が期待できますか?
A. DACチップは同じでも周辺回路、部品が数段進歩しておりますので、十分音質改善が期待できます。
Q. このDACは、ノンオーバーサンプリング(NOS)ですか?
A. はい、ノンオーバーサンプリング(NOS)で動作させております。
Q. DEMリクロックによる音質改善は迷信であり効果は無いとの記事をネットで見掛けますが本当ですか?
A. あるマニアの方の成功例を参考に他の方がDEMリクロックを試みても効果を確認できない、つまり再現性がないため、音質改善効果がないとの説が生まれたものと思います。実は、DEMリクロックが正しく掛かる条件は、個々のチップにより異なります。 また、不完全なDEMリクロックによる中途半端な音質改善事例の存在も、問題を複雑にしている一因かと思います。このような問題を克服し、チップの個体差に関わらず正しくDEMリクロックが掛かる回路構成を見出すのは簡単ではありませんし、弊舎の知る限りではネット上で報告されている例もないようです。正しくDEMリクロックが掛かったときの、すなわちDA変換に正確に同期したDEM動作が実現したときの音質改善は、どなたの耳にも明かな劇的変化です。
Q. 高い周波数でDEMリクロックを掛けるほど音質改善効果も高いとの情報をネットで見掛けますが、粋音舎製DACは何MHzでDEMリクロックを掛けていますか?
A. 弊舎では、むしろ周波数が低い方が音質的に有利と考えておりまして、DEM回路の動作周波数を4fsすなわち176.4kHzに設定しております。DEMに限らずリクロックを掛けるという行為は、デジタル回路としては簡単なのですが、 音質吟味を伴うデジタルオーディオとしは意外に難易度の高い行為です。そしてその難易度をクリアするための手段の一つは、デジタル素子をその応答速度限界に対して余裕のある低い周波数で使うことです。 従って、この余裕を放棄して高い周波数でリクロックを掛けることに音質上のメリットがあるか否かが問題となる訳ですが、2.8MHzまでの各同期周波数でDEMリクロックを掛けて検証しましたところ、高周波化についてはむしろデメリットの方が大きいとの結論を得た次第です。
ここで、DEMリクロックを行うことの意味につき再整理させて頂きます。
44.1kHzサンプリングのノーマルCD再生では、ステレオの片チャンネルにつき毎秒44,100回のDA変換を行いますが、DEM方式では、その1回のDA変換の中で複数の変換素子を何回も(弊舎DACの場合には4回)切り替えて使います。
問題は、この変換素子の切り替え信号(DEM用内部クロック)と、DA変換用クロックの双方にジッターがあるために、DEM動作とDA変換のタイミングが相互に微妙にずれることです。このため、僅かながらアナログ信号への変換誤差が生じています。
極論してしまえば、DEM用内部クロックとDA変換用クロックの位相が同じ様に揺らいでいれば何も問題はないわけです。従いまして、各クロックのジッターを抑える事と同等かそれ以上に、両クロックの位相が揃った状態を保つ事が重要となります。この点がしっかり押さえられていれば、DEM動作による誤差がDEMリクロックの周波数に依存することは、本来ない筈なのです。
以上にてご不明の事項につきましては、下記までお問合せください。
お問い合わせ先:
E-mail suion@soundstage.jp